2012年3月2日金曜日

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47news

日本を創る
①原発と国家
第1部「安全幻影」
vol.5
技術育成の失敗
研究開発阻む安全神話 米国に「お願いリスト」
http://www.47news.jp/47topics/tsukuru/article/post_7.html

 「がれき撤去や放射線レベルの測定機能を備えたロボット、原子炉内に水を注入するための装置...」。福島第1原発事故収束のめどが立たない中の 3月17日、米国に支援を求めるこんな内容のリストが外交ルートを通じて提出された。東京電力や経済産業省原子力安全・保安院を中心に関係省庁が協議して まとめた。
 外務省筋は「米国への『お願いリスト』のようなもの。自分たちだけで対応できないと考えた結果だった」と明かす。以降、海外からの技術支援による対策が動きだす。科学技術立国・日本の誇りはどこへ行ったのか。関係者は「東電タブー」の存在を口にする。

先陣切れず

高い放射線量が計測され続けた原子炉建屋に、事故後初めて入ったロボットは、米国の「パックボット」だ。「世界最高レベル」と賞される日本製は、これほど重要な場面で先陣を切ることができなかった。
 「パックボットは戦災地域への投入を前提とし大量に製造される商品。日本のロボットはせいぜい試作品が数十体。信頼性が根本から違う」と話すのは千葉工業大未来ロボット技術研究センターの先川原正浩(さきがわら・まさひろ)室長。
 同大などのチームが開発した「クインス」は国産で初めて、現場投入が決まった。ただ、だれでも使えるような操作マニュアルの整備や放射線に耐えるかどうかの確認など、実用への調節に長い時間を要したという。
 実はクインスは、がれきの走破性を競う世界大会で何度も優勝するなど、実力は折り紙付きだ。ロボット工学が専門の中村仁彦(なかむら・よしひこ) 東大教授は「求める一つの性能に特化して極めるのが日本の研究開発の特徴。複数の能力を統合させ、"使える"水準に引き上げることは苦手だ」と指摘する。

東電タブー

同じような話は、放射性物質で汚染された水の処理の問題でも聞こえてくる。日本原子力研究開発機構の茨城県東海村の施設は、汚染水を蒸発させる方 式の処理施設を持つ。今回採用されたフランス・アレバ社のシステムよりも能力は上というが、同機構の中村博文(なかむら・ひろふみ)・福島支援本部復旧支 援部長は「導入するには何カ月もかかる。東電はすぐに使える"出来合い"の技術を求めた」と話す。
 高い技術だが使えない。原因はさまざまだが、大きな要因の一つは原発の安全神話にある。中村教授によると、国も研究者も「軍事目的」「原発事故」などの文言が入った研究にはある種の後ろめたさを感じるという。
 特に原発事故では「周辺住民に『安全』と説明している国が、重大事故を想定した研究を推進するわけにいかない」
 ある中央省庁の幹部も「東電の力は大きすぎて国も顔色をうかがわざるを得ない。東電が嫌がる研究など推進できない」と、タブーの存在を強調する。

お蔵入り

ただ原子力災害の対策がまったくないわけではなかった。1999年の臨界事故を受け、当時の通商産業省は30億円のロボット研究開発費を計上。開発に参加した企業は1年半で6台のロボット製造にこぎ着けた。
 だが電力会社も入った実用化評価検討会は、動作が緩慢なことなどを理由に「現時点では使えない」と結論。ロボットはお蔵入りした。
 「改良を加えれば十分使えたはず。開発しっぱなしではだめで、使う人の訓練も含め、技術の維持と継承が鍵なのだが」と開発に携わった製造科学技術センター調査研究部の間野隆久(まの・たかひさ)部長代理。
 別の専門家も「日本には原子力防災ロボットの市場がない。電力会社に買う気がないのではどうしようもない」と問題の根深さを指摘した。(浅見英一)=2011年06月03日

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